バッチリわかる【弱溶剤塗料】水性・強溶剤との比較と選び方のコツ

バッチリわかる【弱溶剤塗料】水性・強溶剤との比較と選び方のコツ
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バッチリわかる【弱溶剤塗料】水性・強溶剤との比較と選び方のコツ

「弱溶剤」という言葉は、塗装や塗料について調べるなかで初めて知ったという方がほとんどではないでしょうか。

一体どんなものかよくわからない、

または、強溶剤塗料や水性塗料と比べてどれを選べばいいのか知りたい、という方もいるかもしれません。

弱溶剤塗料とは、簡単に言えば「弱いシンナーで薄めて使う塗料」です。
より強いシンナーを使う強溶剤塗料や、水で薄める水性塗料とは、それぞれ性能や性質に違いがあります。

そのため、用途によって使い分けが必要になってきます。

本記事では弱溶剤塗料の特徴を、強溶剤・水性塗料と比較しながら解説します。

塗料の選び方、使い分け方も知って、皆さんの目的に合った適切な塗料を選べるようになりましょう。

後半では、弱溶剤塗料がよく使われる外壁塗装での塗料選びのコツと、おすすめ塗料もご紹介します。

納得のいく塗装工事にするためにも、ぜひ最後までお読みいただいて、塗料選びを成功させてくださいね。

1章 「弱溶剤」とは~塗料の種類~

塗料はそのままいきなり塗ることはできず、必ず使うときに何かで薄めます(希釈)。
このときシンナーで薄めるものを「溶剤形塗料」、水で薄めるものを「水性塗料」と言います。

そして溶剤形塗料のなかでも、シンナーの強さによってさらに2つに分かれます。

「弱溶剤」は塗料用シンナーという弱いシンナーを使います。

このシンナーは主にターペン、ミネラルスピリットなどの脂肪族の成分が用いられています。

強溶剤と比べてやや機能性は落ちますが、臭いも少なく安全性も高い優れた塗料です。

※ターペン可溶塗料、NAD型塗料、非水エマルション塗料、と呼ばれることもあります。

「強溶剤」は、ラッカーシンナー、エポキシシンナー、ウレタンシンナーなどの、専用の強いシンナーを使う塗料です。

このシンナーは主にトルエン・キシレンなどの芳香族という成分が用いられています。

耐久性や機能性がとても高いですが、臭いや環境への悪影響なども強いので、取り扱いには注意が必要です。

「水性塗料」は、薄めるのにシンナーではなく水を使う塗料です。

臭いや安全性の心配が少なく、最近の戸建塗装では主流になっています。

溶剤形と比べると耐久性や機能性がやや劣るとされていましたが、近年は技術開発が進んで品質が向上し、弱溶剤塗料と比べて遜色ないレベルの製品も多数出てきました。

塗料は大きくこの3つに分かれますが、これが完全に優れている、これを選べば確実、というものはありません。

それぞれの特徴を総合的にみて、適切に使い分けることが重要です。

次の章では、どんな場面でどの塗料を選べばよいのか、外壁塗装を中心にして解説します。

2章 我が家に適した塗料の選び方

どの種類の塗料を使えばよいかは、塗料の用途(塗る場所)と、外壁塗装なら臭いを気にするかどうかという皆さまご自身の考えによります。

それぞれどんなときに適しているのかを見ていきましょう。

耐久性・機能性が欲しいなら「弱溶剤」

弱溶剤塗料

メリット
  • 耐久性(水性に比べ高い)
  • 密着性が高い
  • 金属の建材と相性が良い
デメリット
  • 建材のひび割れに弱い
  • 下地を溶かしてしまうことがある
  • 刺激臭がする
  • 人体、環境への悪影響に注意

弱溶剤塗料は、外壁屋根塗装で特に耐久性を持たせたいときに使用しましょう。

全体的に水性塗料よりも強い塗膜を作ることができ、臭いも強溶剤よりもかなり弱くて安全性も高いので、戸建住宅の塗装でも安心して使うことができるからです。

例えば、直射日光を浴び続けるため劣化しやすい屋根は弱溶剤にして、外壁は水性、と使い分けるパターンは人気があります。

また、「海沿いで塩害の心配がある」「多少の臭いは気にならないから耐久性を重視したい」という方なども弱溶剤が適しているでしょう。

素材としては、鉄やアルミなどの金属、樹脂系への塗装は弱溶剤塗料が適しています。
水性塗料は金属などのようなつるつるした表面にはうまく密着せず、剥がれやすいからです。
溶剤形塗料は密着性が高く、こうした素材でもしっかり塗装することができます。

※水性塗料でも塗料によって金属等に使えるものがあります

臭いや環境への影響を考えるなら「水性」

水性塗料

メリット
  • 臭いが気にならない
  • 人体、環境に優しい
  • 保管がしやすい
デメリット
  • 気温・湿度に左右される
  • 雨の日は塗装できない
  • 屋根の下塗り・雨樋に向いてない
  • ツヤが落ちやすい

シンナーの臭いや化学物質に不安がある場合には、水性塗料を使用しましょう。
希釈材にシンナーを使わないため、溶剤形塗料と比べてとても臭いが弱いです。

また、環境へ配慮した工事をしたいという場合にも、水性塗料が適しています。

※水性でも臭い・化学物質がゼロというわけではありませんのでご注意ください。

昔はどうしても水性塗料の耐久性が劣っていたため、戸建塗装のメインは弱溶剤塗料でした。

しかしシンナーの悪影響などに考慮して水性塗料の使用が世界的に推奨されるようになったことから技術開発が進み、弱溶剤塗料に匹敵する高性能な水性塗料が多数開発されたことから、近年の外壁塗装は水性塗料が主流に変わっています。

「本当に水性で大丈夫?」と不安になる必要はありませんので、安心してお選び下さい。

また水性塗料は、住宅の軒天、ブロック塀、門などの塗装に適しています。

これらの場所は熱や湿気を逃がす透湿性(通気性)が必要だからです。

溶剤形塗料は強靭な塗膜を作ってくれますが、その分内側の湿気は通しにくく、塗ると膨れや剥がれの原因になってしまいます。

このような場所は、透湿性に優れた水性塗料を使いましょう。

ポイント①戸建住宅の塗装なら、基本的には水性塗料でOK!

近年は水性塗料も性能が上がっており、外壁塗装でも水性が中心です。

まずは水性で考えて、特に耐久性が欲しい箇所や水性が合わない部材があるときは弱溶剤にする、という決め方が失敗が少ないです。

ポイント②DIYも水性がおすすめ!

水性塗料は水道水で薄めるだけで使用でき、使った道具も水洗いして何度も使えて扱いがとても簡単です。

しかし溶剤形塗料はシンナーも一緒に買う必要があり、道具も専用シンナーで洗浄・保管しないとカチカチに固まって使えなくなってしまいます。

また室内での作業も臭いがこもってしまうため、溶剤形は不向きです。

そのため、DIY塗装は扱いやすく安全な水性塗料を使うのをおすすめします。

住宅塗装ではほとんど使わない「強溶剤」

強溶剤塗料は、戸建住宅の塗装ではほとんど使われません。

専用の強いシンナーが必要で、取り扱いも非常に注意がいるものだからです。

しかし耐久性はとても優れていますので、高層ビルやタワーなどのこまめに塗り替えできない大型建築、錆びやすい橋などの耐久性が必要な場所の塗装に利用されています。

もうひとつ注意点として、溶解力(ものを溶かす力)がとても強いため、塗ったときに以前の塗膜を溶かしてしまうことがあります。

そのため前に弱溶剤や水性塗料を塗っていた箇所に強溶剤塗料を塗るには、問題ないかテスト施工したり、適切な下塗り材を使ったりする必要があります。

3章 溶剤・水性以外も重要!塗料選びの2つのコツ

塗料選びは、弱溶剤・強溶剤・水性以外にも重要なポイントがあります。

「樹脂(グレード)」と「1液・2液」の2点です。

どちらも費用や耐久性に関わってくるものですので、ご自身に合っているのはどれなのか選べるように、それぞれ簡単にご紹介します。

樹脂(グレード)はライフプランを考えて選ぶ

塗料の費用相場と耐久年数

塗料には「樹脂」の違いによるグレードがあり、それによって耐久性と費用が変わってきます。

主な種類は、耐久性が低い方から順にアクリル<ウレタン<シリコン<フッ素<無機塗料の5つです。

樹脂を選ぶときは、耐用年数とご家族の今後のライフプランを考えて決定しましょう。

塗料の耐用年数=次の塗り替え時期の目安だからです。

例…

Aさん:子どもがまだ5歳。本人が望むなら大学までは行かせてあげたい。
お金がかかる進学時期と被らないように、15年は持つフッ素にしよう。

Bさん:息子夫婦から、あと10年しないうちに一緒に暮らそうと言われている。
そうなったらこの家は売りに出す予定だ。最低限で済むようにウレタンにしよう。

上記の例のように、最適なグレードはお家によって異なります。

今回の塗装でどれくらいもたせたいのか、今後のご家族の予定、将来計画などを考えることで後悔しない塗料選びができますので、樹脂はしっかり考えて選びましょう。

※正確には、“無機”は樹脂のグレードではありません。シリコンやフッ素などの樹脂(有機樹脂)の塗料に無機成分を配合したものを“無機塗料”と呼びます。

無機塗料は他の塗料よりも耐久性が高いため、各メーカーで最高グレードとして分類されています。

1液と2液なら2液がおすすめ

もう一つ、弱溶剤塗料の中でも「1液型」と「2液型」があります。

外壁、屋根塗装のときには、「2液型」の塗料がおすすめです。

こちらの方が耐久性があり、しっかりお家を保護できるからです。

1液型は、塗料缶+希釈材だけで使うことができる塗料です。

とても扱いが簡単なので、DIYなどには適しています。

2液型は、塗料缶+希釈材に加えて、さらに硬化剤を混ぜる必要がある塗料です。

扱いに手間がかかり、費用も1液よりは高いですが、その分強い塗膜ができます。

2液塗料を経験がない人が使うのは大変かもしれませんが、外壁屋根塗装は専門業者に依頼することがほとんどだと思いますので、扱いについて心配する必要はありません。

お家の塗装は10年に一回程度の重要なメンテナンス工事ですので、丈夫な塗膜ができる2液タイプ塗料を選びましょう。

まとめ

弱溶剤塗料とは、弱いシンナー(塗料用シンナー)で薄めて使う塗料のことです。

強いシンナーを使うものは強溶剤、水を使うものは水性塗料と言います。

最近の住宅塗装では、シンナーの臭いや害が最も少ない水性塗料が主流ですが、弱溶剤も比較的安全で使いやすいため、場面によって使い分けられています。

特に耐久性が欲しい屋根や、密着性の必要な金属部分の塗装に特におすすめです。

塗料選びの際はこの他に、「樹脂(グレード)」や「1液・2液」にも注意して選びましょう。

迷っている方は、主要メーカーのおすすめ塗料も参考に選んでみてくださいね。

塗料選びは、塗装工事を成功させるためにとても大切です。

ぜひこの知識を役立てて、より良い塗装工事を実現してくださいね。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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例えばヘアスタイルなら「前髪を切りすぎた…」くらいの失敗をしても、1ヶ月もすれば元通りですよね。ですが塗装を始めとした住宅の工事はそうもいきません。
家族とともに長く暮らしていく我が家。
見た目の違いはもちろん、塗料の選び方や塗り方ひとつで室内の温度、雨風への耐久度、長い目で見た美しさなどに大きな差が生まれます。

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