

新築時に選んだサイディング壁の模様やデザイン。
気に入っているから、塗装後も残したい。
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
その場合は、「クリヤー塗装」がおすすめです。
しかし、クリヤー塗装ってどんな塗料使うの?
本当にいいの?注意点はないの?そもそも、クリヤー塗装って何?
などと、お悩みになっている方も多いのではないでしょうか?
実は、クリヤー塗装は、サイディング壁のお家であれば、全て可能なわけではありません。
約30%のお家しかクリヤー塗装を選択しません。
というよりも、むしろ「できない」前提条件がいくつかあるからです。
この記事では、クリヤー塗装ができる条件や、塗料の種類、注意点などを詳しくお伝えします。
きっと、あなたのお家のクリヤー塗装する際に参考になります。
ぜひ読んでみてください。
1章 クリヤー塗装って、どんな塗装? 大きな2つの特徴
まず、外壁サイディングの塗装には、大きく分けて、以下の2つの方法があります。
- ①色で外壁を塗りつぶす塗装
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サイディングの外壁に色のついた塗料を塗りつぶします。現在の色や外観を変えたい場合におすすめ。
- ②透明の塗料を塗るクリヤー塗装
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無色透明の塗料を塗るので、外壁の素材やデザイン、模様を活かす塗装。表面はしっかり保護します。
この章では、②のクリヤー塗装の特徴について、詳しくお伝えします。
特徴は、簡単にお伝えすると、たった2つです。
その2つに、どんな特徴があるのか理解しておきましょう。
特徴① 外壁デザインを残したい方におすすめ!透明の塗料をコーティング
外壁サイディングのクリヤー塗装の大きな特徴は「透明の塗料でコーティング」することです。
そして、それは、新築時の模様やデザインをそのまま残したい方におすすめです。
なぜなら、通常の色のついた塗料だと、デザインや模様が塗りつぶされて無くなりますが、クリヤー塗装は、無色透明のため、デザインがそのまま活かせるからです。
特に、現在は、ストーン調・タイル調・レンガ調などのデザイン性が高いサイディング材が増えています。
模様や目地がつぶれない、クリヤー塗装は需要がますます増えています。
しかも、耐久性の機能をもった「樹脂」は備えていますので、外壁の表面を保護してくれます。
つまり、「家を長持ちさせながら、デザインを保てる」というのがクリヤー塗装の大きな特徴です。
そのため、外壁デザインを活かしたい方には、クリヤー塗装がおすすめです。
特徴② 艶(ツヤ)の度合いを選べる:お好みの風合いの仕上がりに
外壁サイディングのクリヤー塗装の、特徴の2つ目は、「艶(ツヤ)の度合いを選べる」ことです。
艶はどの程度まで演出したいのか、しっかり考えておきましょう。
なぜなら、艶は、度合いによって外観の印象を大きく変える要素だからです。
せっかく塗替えするのであれば、艶があるきれいな状態にしたいという考えから、クリヤー塗装では、多くの方が「艶あり」を選びます。
しかし、塗った後で、「こんなにピカピカになるとは・・・」または、「もっと艶があったほうが良かったな」などと、思っていたイメージと違って、施工後に後悔する方が多いです。
艶の度合いは、お家の外観印象を決める、重要なポイントです。
依頼する業者に、検討している艶度合いの施工事例を見せてもらうなど、慎重に決めましょう。
2章 こんな方はクリヤー塗装が絶対オススメ!今しかできない3大条件
クリヤー塗装は、サイディング壁のおしゃれなデザインを残しながら、しっかり表面を保護してお家を守る、とても素晴らしい塗装です。
しかも、クリヤー塗装はいつでも出来わけではなく、できる前提条件やおすすめ要素が3つあります。
もし、あなたがそれらに当てはまるのであれば、クリヤー塗装はぜひ検討すべきですよ。
築7、8年未満のお家
新築から7、8年未満であれば、クリヤー塗装ができる可能性が高いです。
理由は、クリヤー塗装は無色透明の塗料のため、下の素材が丸見えになります。
外壁に汚れやヒビなど劣化症状がなく、きれいな状態であればクリヤー塗装をしても問題ないからです。
まずは、築7、8年を一つの目安としましょう。
サイディングのデザインが多彩でおしゃれなお家
サイディングのデザイン柄が多色であれば、ぜひクリヤー塗装をするべきです。
なぜなら、一度色付きの塗装をしてしまうと、二度と現状のような複雑な多彩な柄は取り戻せないからです。
クリヤー塗装であれば、現在の外観をそのまま活かしつつ、表面を保護することができます。
クリヤー塗装のもともとの目的は、多彩な柄のデザインを活かすために生み出されました。
おしゃれなサイディング壁であればあるほど、クリヤー塗装はおすすめです。
外壁に汚れやヒビがないお家
新築から7、8年までが、クリヤー塗装ができる目安とお伝えしました。
しかし、もしあなたのお家が築10年であっても汚れやヒビ一つないのであれば、クリヤー塗装は可能でしょう。
理由は、クリヤー塗装は透明の塗料のため、外壁の状態がきれいに見えるので、傷んだ劣化状況がなければ、逆に問題ありません。
気になる方は、専門の塗装業者に頼んで点検してもらいましょう。
「クリヤー塗装したいんだけど、ヒビや汚れがないかチェックしてください」といえば、その前提で細かく見てもらえます。
3章 おすすめのクリヤー塗料とその種類、費用相場がわかる
クリヤー塗料には、通常の塗料と同じように、様々な種類があります。
耐用年数や費用もそれぞれ違います。どのような違いが把握しておきましょう。
なぜなら、各塗料の特徴を把握しておくことで、自分のお家にあった塗料を選べますし、さらに、費用相場がわかることで、予算を組むこともできるからです。
例えば、耐用年数と費用は、おおよそ比例します。
また、クリヤー塗装は通常2回塗りのため、通常の色のついた塗装の3回塗りよりも、見積もり金額がお安くなります。
そのため、これらの知識を得ておくことは、クリヤー塗装をする上で、また業者と話すうえで、とても大切なことです。
では、ここからクリヤー塗料の種類と、それらがどのような特徴があるのか、耐用年数や費用相場などをご説明します。
メーカー別人気クリヤー塗料 4選
クリヤー塗料は様々な種類がありますが、その中でも、人気の3つの塗料を紹介いたします。
UVプロテクトクリヤー(日本ペイント)


日本最大手塗料メーカーのクリヤー塗料。シリコン・フッ素塗料のラインナップがあります。
艶あり・3分艶・艶消しがあります。
キクスイSPパワーフッ素クリヤー(菊水化学工業)


フッ素樹脂のクリヤー。耐久年数が長いので、改修回数が少なく済みます。
艶あり・3分艶があります。
クリスタルロックシリーズ(ロックペイント)


アクリル・ウレタン・シリコンのハイブリッド構造のクリヤー塗料。フッ素樹脂もラインナップあり。
艶あり・3分艶があります。
セミフロンスーパークリヤー(KFケミカル)


無機塗料クリヤー。最高級の塗料で持ち年数が15年以上と耐用年数が長い。
クリヤー塗料の耐用年数と費用相場
まず、はじめにクリヤー塗装は、通常の色塗り塗装よりも、お安くなる場合が多いです。
理由は、通常の色付け塗装は、「下塗り・中塗り・上塗り」の3回工程があるのですが、
クリヤー塗装は「下塗り」をしないで、そのままクリヤー塗料を塗る「2回塗り」のためです。
塗料の材料代と塗装職人の人件費がかからないため、費用をおさえることができるのです。
4章 クリヤー塗装の施工 3つの注意点
クリヤー塗装には、通常の色塗りと違って、注意すべき点がいくつかあります。
その中でも、特にこれだけは!ということを2つに絞ってお伝えします。
クリヤー塗装を検討する方は、ぜひ覚えておいてくださいね。
なぜなら、それら注意点は一般の方は知らない方が多く、そのため「知っていたらもう少し検討したのに!」とおっしゃる方がいるからです。
詳しくお伝えしますので、ぜひ読んでみてくださいね。
コーキングは、サイディング壁の色にあわせて選ぼう
クリヤー塗装で注意したいのは、コーキングの色です。
あなたのお家のサイディング外壁の色合いを見て、それに似た色のコーキングを選びましょう。
なぜなら、クリヤー塗装は透明のため、コーキングの色が、塗装後もそのまま映し出されます。
もし、外壁とコーキングの色があまりにも違うと、コーキング部分だけが目立って、全体の外観デザインがくずれるからです。
サイディングの外壁デザインや色にあわせて、コーキングを選びましょう。
次回の塗り替えが、通常塗料よりも少し早めに必要
クリヤー塗装は、塗料の持ち年数が通常よりも若干短くなります。
「3-2|クリヤー塗料の耐用年数と費用相場」でもお伝えしたように、クリヤー塗装は「2回塗り」です。
通常の3回塗りと比較して、金額もお安くなりますが、塗膜が2層になる分、耐用年数も短くなります。
例えば、同じ「フッ素」だったとしても、色塗り塗料は約15年ですが、クリヤーは約13年の持ち年数と言われています。
そのため、通常の色付け塗装よりも、同じ種類の塗料であったとしても少し早めの塗替え時期がくる、ということを把握しておきましょう。
5章 クリヤー塗装ができない!? オススメできない4大条件
実は、サイディングの外壁であれば、全てクリヤー塗装が可能というわけではありません。
無色透明の色ゆえに、できない条件が4つあります。
しっかりと把握しておきましょう。
なぜなら、適していない状態にも関わらずクリヤー塗装をすると、施工不良が起きたり、外観の見栄えが悪くなるためです。
そのため、ぜひ抑えておきたいポイントなので、チェックしておいてください。
築10年以上経過している
新築から10年以上経っているお家は、クリヤー塗装はオススメできません。
理由は、築10年以上経っているということは、お家の劣化症状がはっきりと出ている頃だからです。
クリヤーは透明の塗料のため、現在のお家の状況がそのまま仕上がりに影響します。
ヒビや補修した跡が、そのまま見える状態になります。
ですので、築10年は、それらの傷みが出始めている時期なので、クリヤー塗装は向いていません。
逆に言うと、外壁がまだきれいな状態でしか、クリヤー塗装は向いていない、とも言えます。
新築から7年くらいまでが、目安と考えましょう。
外壁をさわると粉がつく(チョーキング)
外壁を触ると手に粉がつく(チョーキング現象)状態の場合、仮に築10年未満だったとしても、クリヤー塗装はオススメできません。
チョーキング現象とは、塗料の成分である樹脂(水をはじく力)が失われ、顔料(色のついた粉)だけが残っている状態です。
このような状態でクリヤー塗装をすると、白濁や剥がれ、剥離などの原因となるためです。
そのため、チョーキング現象がみられる場合は、施工不良の原因になるので、クリヤー塗装はやめておきましょう。
外壁にヒビが入っている
外壁にヒビが入っている場合、クリヤー塗装はやめておきましょう
理由は、クリヤー塗装は、表面の保護機能はありますが、透明の塗料のため、塗装してもヒビや補修後の状態がそのまま透けて見えるからです。
せっかく塗装したにも関わらず、美観が悪くなります。
もちろん、補修して通常の色塗りつぶしの塗装後に、クリヤー塗装することは可能です。
しかし、外壁にヒビがある場合でそのまま上からクリヤー塗装することは、やめておきましょう。
光触媒・無機・フッ素で塗装されているサイディング
「オススメ」ではなく、性質上「施工できない」サイディングがあります。
それは、「光触媒や無機・フッ素塗料でコーティングされた新築のお家」
なぜなら、それらは特殊なコーティングのため、その上にクリヤーの樹脂を塗装しても、密着せずにすぐに剥がれてしまう可能性があるためです。
ただし、見た目ででは、どの塗料が自分のお家に使われているかはなかなか判断できません。
そのため、建てた業者さんに聞くか、図面に記載のメーカー名を調べて、コーティングされたサイディングボードから調べてみましょう。
いずれにしても、光触媒・無機・フッ素で塗装されているサイディング壁にはクリヤー塗装は、施工不良になる可能性が高いので、やめておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サイディングのクリヤー塗装について、特徴はわかりましたでしょうか。
クリヤー塗装は、外壁デザインをそのまま活かせる、しかも、通常塗装よりもお安くできる素敵な塗料です。
しかも、お家がきれいな状態でしか、できない限られた塗装でもあります。
しかし、気にしておきたい注意点もいくつかあります。
この記事を参考にしていただき、あなたのお家が新築のようによみがえる、工事のお役に立てれば幸いです。
読んでいただきありがとうございました。
◆半分はクリヤーで柄を残し、もう半分は色付けというツートンカラーもおしゃれです!
ぜひ様々な組み合わせをご覧になって検討してみてください。