

洗濯物をしたり、小さな鉢植えを育てたり…
意外と出入りすることが多い、お家のバルコニーやベランダ。
ちょっと汚れや傷みが気になり始めたけど、何かメンテナンスをした方がいいのかな?
と気になっている方も多いのではないでしょうか。
実はバルコニーやベランダは、非常に雨漏りの原因になりやすい場所です。
雨が直接当たる場所ですが、人が歩けるようにするため屋根のような傾斜がつけられないからです。
傷んで隙間ができたり、排水がうまくいかなくなったりすると、下のお部屋に水が流れ込んでしまいます。
見落としがちですが、定期的なメンテナンスがとても重要な部分なのです。
そこで本記事では、バルコニーやベランダのメンテナンスについて、起こりうる劣化症状から対処方法、費用相場まで全体を詳しく解説します。
安心できる暮らしのために、ご自宅のバルコニー・ベランダの状態と照らし合わせながらお読みくださいね。
- バルコニー
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2階以上の張り出し部分、屋根なし
- ベランダ
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2階以上の張り出し部分、屋根あり
- テラス
-
1階掃き出し窓の前の台状スペース
細かく言うとこのような違いはありますが、バルコニーとベランダの差は屋根の有無だけなので、メンテナンスは基本的に同じです。
そのため、本記事でもバルコニーとベランダは特に区別せずにお話します。
1章 バルコニー・ベランダのメンテナンス必要箇所
バルコニーやベランダでお手入れが必要になるのは、主に「床面(防水)」、「笠木」、「排水口」の3か所です。
それぞれに現れる劣化症状や、メンテナンスが必要な理由を解説します。
床面の防水
バルコニーやベランダのメンテナンスで最も重要なのは、床面の防水です。
傾斜のある屋根や垂直な外壁と違って水が溜まりやすい場所なので、「防水施工」でしっかり保護されています。
しかしこの防水も、紫外線や人が歩くことによる衝撃・摩擦などで徐々に劣化するため、定期的なメンテナンスが必要になります。
一般的なメンテナンス時期は築5~10年頃です。
ひび割れや剥がれなどの劣化症状が出たら、時期が来ている目安です。
- 防水のひび割れ
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細かなひびが入っている状態。どんなに小さな隙間でも、水は中に染み込んでしまいます。
- 防水の剥がれ
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表面の「トップコート」という層が剥がれています。下の防水層が直接傷むと、雨漏りに直結してしまいます。
- バルコニーからの雨漏り
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バルコニーの下側(軒天)に水がまわり、剥がれてきています。
下のお部屋でも雨漏りしてしまうと大規模な改修工事が必要です。
こうならないよう、定期的なメンテナンスが重要です。
笠木・手すり
実は注意が必要なのが、バルコニーやベランダの「笠木」です。
笠木とは、ベランダの壁の上に乗っている板金で、手すりがついていることも多い場所です。
中に水が入らないように、壁の上を覆うような形で取り付けてあります。
一般的にはアルミやステンレスなどの錆びにくい金属が使われているため、定期的な塗装などはいりません。
しかし、笠木の継ぎ目に隙間ができたり、笠木自体が歪んでめくれたりしてしまうと、そこから雨漏りする危険がとても高くなるため、こうした症状が出たときにはメンテナンスが必要です。
- 笠木の継ぎ目
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継ぎ目はコーキングなどで埋めているか、金属のカバーが被せてあることが多いです。
コーキングはひび割れていないか、カバーはズレたり歪んだりしていないかチェックしましょう。
- 笠木のめくれ
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物をぶつけたりひっかけたりして笠木がめくれると、強い風雨の時にそこから雨が吹き込んでしまいます。
笠木は傷みにくい素材でできているため、○年おきに~という定期的なお手入れは必要ありませんが、万一傷んでいるのが見つかった時にはメンテナンスを行ないます。
排水口(ドレン)
バルコニー・ベランダには必ず排水口(ドレン)がついています。
泥やごみなどが溜まって詰まりが発生すると、水がベランダ内に溜まり、雨漏りの原因になることがあります。
- 排水口の詰まり
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屋外なので、飛んできた砂や落ち葉などが少しずつ溜まってしまいます。
2章 最重要!バルコニー防水のメンテナンス方法と費用
バルコニー・ベランダの防水メンテナンスには2パターンあります。
表面だけを直す「トップコート塗装」と、下の防水層ごと作り直す「防水工事」です。
劣化状態や経過年数によって、どちらを行なうか判断しましょう
5年おきのトップコート塗装
防水種類 | トップコートの費用相場 |
ウレタン防水 | 1,600~1,700円/㎡ |
FRP防水 | 1,700~2,200円/㎡ |
シート防水 | 900~1,500円/㎡ |
トップコートとは、防水の一番上の保護塗装です。戸建だと色はグレーのことが多いです。
5年おきくらいでこまめに塗り替えることで、防水全体のやり直しを先延ばしにすることができます。
トップコートは下の防水層の種類によって使う塗料が異なるので、金額も多少違いがあります(耐用年数は5年前後で、ほとんど差はありません)。
一般的な戸建住宅のバルコニーは大半がFRP防水なので、新築でまだ一度も防水メンテナンスをしていない方は、まずはFRPの金額を目安にしておくとよいでしょう。
ご自宅の防水の種類が分からないときは、ハウスメーカーの人や点検に来た業者のひとに聞いてみてくださいね。
10年を過ぎたら防水工事
防水種類 | 費用相場 | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 4,000~7,000円/㎡ | 7~15年 |
FRP防水 | 5,000~7,000円/㎡ | 10~12年 |
シート防水 | 5,000~8,000円/㎡ | 15~20年 |
築10年以上経っている場合や、下の防水層まで劣化が進んでいた場合は、改めて防水層を作り直す「防水工事」を行ないます。
戸建のメンテナンスで最もよく使われる防水工事はウレタン防水です。
他の防水に比べて施工しやすく、費用も安価というメリットがあるためです。
FRPなど別の防水の上からでも問題なく施工できますので、ご安心ください。
3章 笠木は隙間の補修か交換工事
コーキング補修 | 笠木交換 |
800円~/箇所 | 15,000~30,000円/m |
- コーキング補修
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笠木の継ぎ目に隙間ができている場合は、コーキングで補修します。
コーキングの色自体を笠木と近いものにして、目立ちにくくしてもらいましょう。
- 笠木交換
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また、めくれや歪みが起こっていた場合は、笠木ごと交換が必要です。
傷んだものをはがし、新しい笠木を取り付けます。
ただし、すでに雨漏りが発生していた時は、内部の防水シートや木材の交換、外壁の張り替えなどの工事も別途必要ですのでご注意ください。
4章 排水は定期的な水洗いで詰まり防止
排水口・ドレンの詰まりは掃除で解消してあげましょう。
落ち葉など大きめのごみを取り除いたあと、ホースで水を流して細かい砂、泥も溶かしていきます。
頑固な詰まりは、いらなくなった歯ブラシ等でこすり落としましょう。
また、床にタイルやマットを敷いている方もいらっしゃると思います。
タイルなどの下は非常に砂が溜まりやすいので、必ずどかしてから、床全体を水洗いしてくださいね。
今後の詰まり予防には、
- 半年に一度ほど水洗いで砂を流してあげる
- 植木鉢は排水口から離れたところに置く
- 排水口カバーを付ける
などの対策が有効です。
- 排水口カバー
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金属ではなく塩ビ製の、錆びない排水口カバーです。縦型なので落ち葉などでも簡単には詰まりません。
5章 バルコニー防水は外壁・屋根塗装と一緒にやると安心!
バルコニーやベランダ床面の防水工事は、外壁・屋根の塗装工事とセットで行うのがおすすめです。
なぜなら、防水も外壁・屋根塗装も、どちらも定期的にメンテナンスが必要なものだからです。
一緒に行うことで、将来のメンテナンススケジュールを考えやすくなります。
また、塗装工事のときにはお家全体の高圧洗浄をするのですが、バルコニーの中も一緒に洗ってくれるので、防水工事前に改めて洗浄する手間を省くことができるのもセットで行うメリットです。
ただ防水工事も対応しているかどうかはその塗装業者次第です。
気になる方は、塗装の見積依頼をするときに「バルコニーの防水も見てほしいのですが」と一言伝えて、点検や提案をしてもらえるか確認しましょう。
外壁・屋根が綺麗になったのにバルコニーをお手入れせず雨漏りしてしまったら、せっかく塗装した箇所がまた修繕工事になってしまう恐れもあります。
二度手間にならないためにも、ぜひバルコニー防水は塗装とセットで検討しましょう。
まとめ
バルコニー・ベランダは、「床面の防水」、「笠木・手すり」、「排水口(ドレン)」のメンテナンスが必要です。
傷んでいるのを放置すると雨漏りする恐れがあるので、それぞれきちんとお手入れをしてあげましょう。
特に床面の防水は最重要です。ひび割れや剥がれが出ていたらメンテナンスをご検討ください。
また防水工事は屋根・外壁塗装とセットで行うのがおすすめです。
気になったらお近くの業者に点検してもらいましょう。
大切なお家を長く維持するために、お役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。