最近、外壁のコケが目立つようになってきた。
手入れした方がいいのかな?自分で掃除するにはどの方法が一番いいのかな?
・・・と気になってはいたものの、なかなか手を付けられず放置していた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そのコケ、放置するのは本当に危険なので、見つけたら“必ず” “すぐに”除去してください。
何故なら、コケを放置すると健康被害をもたらしたり、外壁材を脆くして余計なメンテナンス費用が発生する元となるからです。
じゃあ、お金をかけずにやりたいし、自分でやろう。
ちょっと待って! そのコケ、状態によっては、自分でお手入れするのは危険かもしれません。
実は、誤ったお手入れをすると、キレイにするどころか外壁材自体を傷つけてしまったり、余計にコケがつきやすくなったりし、劣化を進める原因となるからです。
では、自分の家は、どのくらい危険なレベルのコケなのか?
自分でお手入れしていいレベルと業者に頼むべきレベルはどう判断すればいいのか?
その判断方法と、具体的なお手入れ方法、適切な落とし方をお話しさせていただきます。
最後には今後のコケ予防についても紹介しますので、掃除後にぜひ実践してみてくださいね。
大切なお家を、コケから適切に守れるようになりましょう!
1章 放置は危険!コケがもたらす3つの危機と危険度レベル
外壁に付着するコケは、「見栄えが良くないなあ」くらいにしか思わない方も多いかもしれません。
しかし本当は、お家やお住まいの方に悪い影響をもたらす、とても危険なものです。
さらにそれは、放置しておくと徐々に進行して、危険レベルも増していきます。
ここでは、コケのもたらす危険とそのレベルを3段階に分けてご紹介します。
まずは“コケは放置してはいけないんだ”ということをご理解ください。
放置ダメ絶対。
危険度★☆☆ 表面のコケが健康に被害をもたらす
外壁にうっすらと付着している、拭き掃除ですぐ落ちるようなものは「表面のコケ」です。
また建材に対する危険度は低いです。
しかし、コケの胞子がもたらす健康への被害には要注意です。
コケは胞子をまくことで増えます。
お家のすぐそばにコケがあるということは、お家の中にコケの胞子が入りやすい状態です。
そしてコケは、アレルギー性皮膚炎誘発物質となることが研究でも証明されています。
アレルギー性皮膚炎誘発物質
西部カナダ,アメリカおよびヨーロッパでは,木材伐栽業者が木材に付着したコケ類によって激しい水泡,水腫を伴ったアレルギー性皮膚炎に見舞われることが知られていた.この皮膚炎は着生苔類のシダレヤスデゴケ類(Frullaniatamarisci subsp. tamarisciおよびF.dilatata)によることがパッチテストの結果判明し,両ヤスデゴケから多種のセスキテルペンラクトン類が単離され た.これらのうちアレルゲンは,α-メチレンを有するオイデスマン型(14,15,17,18)およびエレモフィラン型(16)であることがパッチテストの結果から確認された.ヨーロッパ産に限らずアメ リカ,アジア地域に分布するヤスデゴケも同種のハプテンを有するので,アレルギー体質の人はこれらの苔類に触れないほうがよい
『苔類の生理活性物質』(1984)徳島文理大学薬学部教授 浅川 義範
コケの胞子を吸い込むことで、アレルギーの原因となります。
ご家族の健康を保つためにも、コケは外壁についていない状態にしておくのが安心です。
また、この状態も放っておくとコケが根を張り、危険度★★に進行してしまいます。
気付いた段階でお手入れをして、カビ・コケからご家族を守りましょう
危険度★★☆ 壁に根を張って建材を脆くしてしまう
コケは菌類ですので、絶好の環境が揃うとどんどん根を張って繁殖していきます。
そうしてコケが外壁にずっと付着していると、中性化現象※が起こり、外壁がもろく崩れやすくなります。
手で触っただけでボロボロと剥がれてくる状態になってしまいますので、後々に外壁補修が必要な状態になってしまうのです。
酸性とアルカリ性という、相反する性質同士のものが反応し合って起きる現象。アルカリ性の外壁に酸性のカビ・コケが付着すると、中性化し性質を変えてしまう。
■中性化現象により脆くなった壁材
外壁が脆く崩れている状態。建材の素地が見えているため、雨水が家の中に入りやすくなっています。
危険度★★★ 水分を溜め込んで躯体をダメにし数百万の修繕に
コケを放置し続けると、最終的にはもっさりと山のようにコケが盛り上がって“大繁殖”してしまいます。
うちはまさか、こんなことにはなっていないよ、と思うかもしれませんが、じめじめした北面や、あまり見ない室外機の裏など、起こっているお家は意外とあります。
コケの根は水分を持っています。
それが外壁に根付くということは、外壁の内部が常に水を溜め込んでいることになります。
人がお風呂に入り続けると手がふやけてしまうように、外壁も内部がずっと湿ったままでは弱く脆くなり、最後は補修さえできない状態になってしまうのです。
張り替え工事になってしまったコケの大繁殖
このお宅は、触ると指がズブズブと入るほど外壁が腐食していました。
結果、洗浄や補修ではどうにもできず、外壁の張り替え工事になり、100万円単位の費用がかかってしまいました。
もっと早い段階で対処していれば、余計な費用をかけずに済んだものです。とてももったいないですよね。
以上、危険度別にコケの状態を見てきましたが、初期段階だからまだ大丈夫ということは、ありません。
むしろ初期症状のうちに対処をすることが最重要です。
皆さんはコケのついた食べ物は食べないと思いますし、普段使っているスマホにコケが生えたら異常事態ですよね。
毎日帰るお家にコケが生えているということも、間違いなく異常事態です。
コケを見つけたら、すぐにお手入れを検討しましょう。
2章 自分で出来る?業者に依頼?判断する2つのポイント!
それでは、ご自宅のコケが自分で対処できるか、業者に依頼すべきなのかをまず判断しましょう。
コケくらい自分で掃除できるでしょ?お金もかけたくないし…と思うかもしれません。
しかし状況によっては、ご自身でやってもあまり効果が出ない場合もあります。
さらに、誤った方法でお手入れすると、かえって外壁を傷めて余計にコケがつきやすい状態にしてしまうこともあるのです。
そうなっては時間も労力も無駄になってしまいますし、その間にお家もどんどん弱っていきます。
まずは現在の外壁の状態をチェックしましょう。
外壁が水を弾くか弾かないか
外壁の健康状態は、『コケのついている箇所の外壁に水をかけてみる』
これで簡単にチェックできます。さっそくやってみましょう。
【外壁が水を弾く状態=自分でお手入れをしても良い健康な外壁の状態】です。
これは、お家の塗装の塗膜が効いているため水を弾いています。
コケもほとんど表面的なもので、あまり根を張っていないはずです。
水を弾いている外壁
車にワックスをかけた後のように、水玉ができます。コケなどの汚れを洗い流せる状態です。
【外壁が水を弾かない状態=自分でお手入れしてはダメな不健康な外壁の状態】です。
これは、お家の塗装の塗膜が切れていて、水を弾かずに吸い込んでいます。
外壁自体がじめじめと湿気を帯びているため、コケが根を張って繁殖しやすい状態です。
水を弾かない(吸い込んでいる)外壁
このように水をかけた箇所の色が濃くなるのは、水が染み込んでいる証拠です。
外壁が湿気ているので、コケを掃除してもまたすぐ付着してしまいます。
⇒このような状態なら、4章をご参考にしていただき、専門業者さんに相談してみましょう。
コケの範囲
水を弾く状態だったとしても、コケの範囲によってはご自身での対処が難しい場合があります。
- 【手の届く範囲】【軽度】のコケ⇒
-
ご自分でお手入れが出来ます
- 【高所で広範囲】【頑固】なコケ⇒
-
業者に対処を依頼しましょう
当然ですが、高い所をご自分で作業されるのは、危険が伴います。
長いブラシなどを使って高い所の作業をする方法もありますが、届かない所も出てくるので、プロにやってもらった方が確実で安心です。
また、頑固なコケは、専門知識がないと正しく落とせないので、こちらも専門家に任せるのが良いでしょう。
それでは次の章では、軽度なコケに対してのお手入れ方法をお話しさせていただきます。
3章【手の届く範囲】【軽度】のお手入れ方法
【手の届く範囲】【軽度】のコケであれば、ご自分でも落とすことができます。
身近なもので手軽にできるお掃除方法を2種類解説します。
また、意外とやってしまいがちなNG掃除法もありますので、それについても最後に紹介します。
やさしく拭きとる
表面にコケの胞子が軽く付着している程度であれば、軽く濡らしたスポンジ(柔らかい面)でふき取ることで、簡単にコケの汚れを取ることができます。
スポンジの使う面
スポンジは必ず柔らかい方の面を使って、優しくコケをふき取ってください。
硬い面を使うと、外壁や塗膜を傷つけてしまう可能性が有りますので、使用は避けましょう。
また、少し高い所をお手入れされる際は、伸縮棒のついたスポンジやモップも販売されているので、使用してみてください。
専用洗剤を使う
外壁のコケを落とす専用の薬剤が各社から数多く出ています。
水だけでは落ち切らないコケがあれば、こちらを使ってみましょう。
【おすすめ洗剤】
■お手軽で使いやすい!ホームケアシリーズ
コケ、カビから排気ガス汚れまで、幅広く効果のあるマルチクリーナーです。お値段も手ごろで使いやすい洗剤です。
■掃除+予防もできる!ワンステップ・スプレー・クリーナー
汚れの除去だけでなく再発防止の効果もある、一石二鳥なスプレーです。今後の対策もお考えの方におすすめです。
ご自分でお手入れをされる場合は、優しく拭きとる・専用洗剤を使うこの2つの方法がおススメです。
やりがちな2つのNG掃除法
意外と外壁材はデリケートです。汚れ掃除、というとイメージしがちな方法も、外壁には危険な場合があります。
以下の2つは特に「かえってお家に水を入れて傷めてしまう」ものですので、絶対に行わないように注意しましょう。
①タワシでごしごし擦る
しつこいコケや汚れを落とすというと、ブラシやタワシでごしごし擦って、最後にホースで汚れを洗い流して…とイメージされる方も多いですが、この方法は、絶対にダメです。
なぜなら、外壁の塗膜を削り、外壁自体を傷めることに繋がるからです。
例えば、一般的な亀の子たわしを想像してみても、かなり一本一本の毛が固いですよね。これで肌をごしごし擦ったら、皮膚が剥がれて、血が出てくると思います。
外壁も同じで、固いものでごしごし擦られると、塗装されている塗膜が傷ついて、外壁材を守るバリヤーが取れてしまい、その部分から劣化が始まってしまいます。
②高圧洗浄機
駐車場や塀を綺麗にするついでに、外壁も一緒に洗浄しよう、と高圧洗浄機を使用するのもNGです。
こちらも、外壁に残っている塗膜も落ちて、かえってコケが付きやすい状態にしてしまうからです。
“水圧の調整すれば大丈夫”や“高圧洗浄機を選べば使える”と紹介しているWebサイトも多くありますが、一時的に見た目を綺麗にするのを目的にしているだけです。
今後さらにコケが増えたり、外壁を傷めてしまうことになりますので、安易に高圧洗浄機を使うのは避けましょう。
(コンクリートや塀など防水塗膜が無い部分は高圧洗浄で見違えるほどキレイになるので、使用上の注意をよく読んで、お手入れをしてみてくださいね。)
4章【高所で広範囲】【頑固】なコケは洗浄+塗装を依頼しよう
「うちは、自分でお手入れできる状態に当てはまらなかった」「高い所や広範囲のコケ、頑固なコケに悩んでいる」という方は、外壁塗装業者に相談をして、見積もりを取りましょう。
洗浄してもらうだけじゃだめなの?と思うかもしれません。
しかし、ここまでコケが進行しているということは、外壁の防水塗膜が効かなくなってしばらく経っているということです。
お家がもうメンテナンス時期を過ぎているという、重要なSOSサインだと認識して、塗装をご検討ください。
また3-3でお伝えした通り、単に高圧洗浄だけすると、かえってコケが付きやすい状態にしてしまいます。
それはプロが洗浄しても、皆様が家庭用洗浄機を使っても、同じことです。
例えば、洗顔したあとそのまま放置したらお肌に悪い、という話を聞いたことがありますよね。なので洗顔後は化粧水や乳液を使って保護すると思います。
外壁もそれと同様です。高圧洗浄は、必ず外壁塗装とセットなのです。
コケの繁殖がすすんでいた場合は、信頼できる業者に相談して、早めに塗装を検討しましょう。
5章 外壁にコケがつくのを防ぐ“2大予防法”
せっかくコケを綺麗に掃除したら、できるだけその状態を維持したいですよね。
ここでは、今後のコケを予防する方法について紹介していきます。
コケの予防は見た目も綺麗に保てますし、お家の寿命やご家族の健康面でもプラスになりますから、ぜひ実践してみてくださいね。
植物を整えて外壁周りの風通しを良くする
日当りの悪い北面、川沿い、木の多い公園のそばなど、コケがつきやすい環境というものがいくつかあります。
変えられない環境もありますが、中には自分で取り除くことができるものもあります。
例えば、お家の周りを取り囲む植木や雑草です。
外壁のそばに植物が茂っていると、コケの胞子がすぐ飛んでこれる状態なので、外壁にも付着しやすいです。
また、植物が壁に密着するほど近いと当然そこは日陰になって、じめじめした環境にもなってしまいます。
そのため、雑草ならこまめに草を取る・除草剤を撒いて草を生えにくくする・砂利を敷く、
植木類なら定期的に剪定して壁にくっつかないように整える、という対策ができます。
たったこれだけではありますが、外壁周りの環境は大きく変わります。
コケの生えやすい環境を少しでも取り除いて、お家を保護してあげましょう。
コケ防止塗料で塗装をする
塗料の中には、「防カビ・防藻塗料」という、汚れの付きにくい機能性塗料があります。
微生物の増殖を抑えたり、静菌作用、殺菌作用をもっている塗料のことを指します。
コケの繁殖も抑えてくれますので、外壁塗装の際にはこのような塗料を選んでみましょう。
防カビ・防藻塗料の例
特に防カビ・防藻機能に力を入れた製品です。※完全に滅菌するわけではありません
耐用年数は10~13年ほどあります。
塗料のカタログ記載例
その他の塗料も、カタログを見れば防カビ・防藻機能があるかわかります。
国内の大手メーカーそれぞれ防カビ・防藻機能付きの塗料を販売しています。
気になる方は、「コケの生えにくい塗料にしたい」と業者に一言伝えて、見積もりを作ってもらいましょう。
まとめ
外壁のコケは、アレルギーの原因となったり、外壁を脆く傷めたりする、とても危険な存在です。
決して「少しくらい放っておいて大丈夫だろう」と思わず、すぐに対処をしてください。
手の届く程度の軽度のコケは、ご自身でお手入れできます。
スポンジや洗剤を使って、優しく掃除してあげましょう。
既に広範囲に繁殖していて頑固に根付いたコケは、ご自身での対処が難しいです。
また、外壁の防水塗膜自体が弱っている状態ですので、業者に頼んで洗浄+塗装をしてもらいましょう。
コケは、身近だからこそ見逃してはいけないものです。
しっかり正しい対処をして、お家を綺麗に、健康に保ってあげましょう。
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